E2. 定年後の日常生活(2023年から)

E. 定年後の話色々

妻の親類や、友人、知人から、私が定年してから何をしているのか聞かれる事が多いので、私の日常生活について紹介したいと思う。

定年した親友:

当地では理由は様々だが、経済的な理由とは別に、する事が無く退屈だからと言う理由で一度定年してから職場に戻りたいという人や、年金を貰いながら退職しないで仕事を継続している人が結構いる。(日本と異なり給与を全額受け取りながら、年金も全額もらう事ができる。)

私のコロンビア人の親友は、若い頃から相棒と立ち上げたジーンズの縫製会社を経営している。先ずは彼の話をしようと思う。彼は私より2才年上で、つき合いはすでに43年くらいになる。出会いは私がカナダからメデジンに移って、オートバイ販売店に勤め始めた頃になる。当時、彼は日本製の2サイクル単気筒、250CCのトレール車に乗っていた。

たまたまオートバイ販売店の広告を見て私が働いていることを知り、新車であるのにあまり調子の良くなかったオートバイを、修理工場に持ち込んだのが彼と私の出会いだった。その後、私が独立してオートバイ修理専門店を開いてから、常連客として何度か話をしているうちに親しく付き合う様になった。

彼はその後、数年経ってからメデジンから30分程行った郊外の山中に約2万平米の土地を買い、とても大きな別荘を建てた。その頃の彼は、将来、定年退職したら別荘で暮らすと言って、メデジンでは家もアパートも購入しなかった。もちろん毎週末ならびに連休があれば必ず家族で泊まりに行っていた。

親友は定年退職後、毎日別荘で好きな読書や音楽、映画鑑賞をしていたが、そのうちに退屈になってしまい、1ヶ月もしないうちに職場に復帰した。すでに72才になるが、工場の喧騒の中で仕事をしている方が好きだと言っていた。

                 親友の建てた3軒目の別荘

別荘:

親友の別荘は高台にあるので見晴らしがとても良く、周囲は牧場で乳牛が放し飼いにされている静かな場所だ。別荘を持っている多くの人達は、親の遺産として受け継いだお金持ちが多い。彼の様に事業を起こして、頑張って別荘を建てた人はあまり多くない。現在は敷地内に3軒の別荘を建て、2軒は貸しており、4軒目の建設を計画している。メデジン在住の中産階級の人達にとって市内にマンションを購入し、たとえ小さくても別荘を持つことが成功の証であり大きな夢である。

子供達が小さい頃、私も良く招待されて家族を連れて遊びに行っていた。今でも毎週一度、平日に彼は休みを取るので、二人で一緒に別荘に遊びに行く。彼の奥さんは初孫の面倒を見ており、平日はメデジンに居るので別荘には週末しか来ない。途中で昼食を食べたり、別荘で日が暮れるまで酒を飲みながらバーベキューしたりするのが、お互いに気分転換になっている。

                 ベランダでのバーベキュー

私の妻は田舎や別荘は好きではない。それでも私は投資目的で別荘を購入しようと思った事がある。1995年頃、私がドミニカ共和国に派遣されていた頃だ。親友からの電話で、彼の別荘のすぐ近くに6400平方メートルの土地が売り出されていた。その場所は私も見たことがあり、サイズも価格も気に入ったので、親友にオーナーと話を進めてもらった。ところが彼は交渉の余地があると思い、オーナーに売値よりも低い金額をオファーしたところ、オーナーはあっさりと他の購入希望者に売ってしまった。

ドミニカでの仕事の後、2000年から2006年までアルゼンチンへ長期派遣された。その間、コロンビアのゲリラ活動が活発化して、メデジンの郊外でもゲリラによる誘拐事件が多発し、別荘地へ誰も行かなくなった。勿論、別荘地の地価は最低になった。その後、新しい大統領の努力により治安が回復するに従い、地価も再び上昇に転じたが、アルゼンチンに在住していたため、別荘を購入するタイミングを逸してしまった。現在はその頃より地価が10倍くらいに高騰してしまい、全く手が出せない価格になってしまった。今では宝くじが当たるでもしなければ、別荘に手を出すことはないと思っている。

調理:

現在、私は全く仕事をしていないので毎日の食事は基本的に私が作っている。調理は元々好きなので苦にならないが、たったの二人分でも片付けも含めると結構手間がかかる。朝食だけは妻が作ったり、私が作ったりしている。メデジンのあるアンティオキア地方の朝食にはアレパと言って、とうもろこしの粉で作られている伝統的な一種のパン、と言うか団子を平たく伸ばして焼いた物である。直径14cmくらいでトルティーヤに似ているが、トルティーヤよりも厚く、味にクセがないので食べやすい。

          毎日の朝食(アボカド、アレパに炒り卵とカフェコンレチェ)

ほぼ毎朝、冷凍保存されたアレパを金網で焼き、その上にトマトと長ネギを刻んで炒めてから卵を混ぜて作る炒り卵と、カッテージチーズとアボカドを乗せて食べる。飲み物は熱いコーヒーに牛乳をたっぷり入れて飲むカフェコンレチェ(カフェオレ)が好きだ。妻は乳製品をなるべく取らないように医者に言われてから、牛乳からアーモンドミルクに変えた。アレパ以外では、週に一、二度キャッサバの粉に卵とミルク、カッテージチーズをよく混ぜて焼いたワッフルも食べる。

昼食はお米を食べるが、作るのに面倒なので週に1回ほど米3合を炊いて、小さめのおにぎりを10個ほど作って冷凍しておく。最近は白米でなく、輸入されたカリフォルニア米にコロンビア産玄米を2対1で混ぜ、塩少々、刻みニンニク、そして醤油とオリーブオイルを適当に入れて圧力鍋で炊く。食べる時は冷凍庫から取り出して置き、おかずが出来る頃に電子レンジで温めて食べる。

おかずは毎日似たような物を食べている。作り置きした合挽肉のハンバーグ、野菜炒め、チキンの胸肉やサーモンのソテー、それにワカメとネギの味噌汁、時々味噌汁の代わりにカボチャのポタージュなどを作る。妻の為にポタージュには牛乳やクリームを入れずに豆乳にした。結構味がまろやかで気に入っている。パスタは妻がグルテンも控えるように医者に言われてから、週に一度程度しか作らない。牛肉も豚肉もほとんど食べなくなった。時々、スペアリブを圧力鍋で調理するくらいだ。私はハムやソーセージ等の加工食品が好きだが、妻はほとんど食べない。

我が家では前菜がわりに毎日野菜サラダを食べる。いつもサラダだけは昼に夕食の分まで多めに作る事にしている。夜はお米を食べずに、サラダに自家製のチキンハムやツナ(缶)を乗せて食べる事が多い。ちぎったレタスやベビーリーフ類は良く水で洗い、ボウルに氷水と少し酢を入れてから野菜を漬けておく。氷が溶けてシャッキとなった頃、手動のサラダ脱水機で水を切ってから皿に盛る。それでも中々体重が減らないのは運動が足らないのかも知れない。ちなみにドレッシングは醤油1、バルサミコ酢1、オリーブオイル2の割合で混ぜた和風イタリアン?ドレッシングを作り置きしている。

時々、甘い物が食べたくなるとバナナケーキやチーズケーキを作る。そしてたまに酒が飲みたくなると、近くに住んでいる妻の姪の旦那を呼んでワインを飲む。つまみは焼き餃子やチョリソ、生ハム、アンチョビ入りのオリーブ、小エビとマッシュルームのアヒージョやピザなど、その時の冷蔵庫にあるものを適当に用意する。普段、妻は酒をほとんど飲まないが、赤ワインや良く冷やしたスパークリングワインは飲む、特にイタリア産のスパークリングワインの、少し甘いロゼのランブルスコは大好きだ。

最近はこの冷やしたランブルスコに、冷えた炭酸水300CCを加え、オレンジの薄切り4枚残りは櫛形にカット、白ブドウの10粒、ブルーベリー10粒、マラスキーノチェリー10粒、ライチーの缶詰1缶シロップごと、そして小さめのライム薄切8枚と、残りのライムを絞って入れたサングリアを良く作る。晴れた天気の良い日に、少し甘いがよく冷やしたサングリアは食前酒に最適だ。

私が家に誰かを食事に招待する時の定番料理が三つある。一つはピザで、生地もトマトソースも自分で作る。普通はオーブンで焼くが、妻と二人だけの時はフライパンで焼くのが手軽で便利だ。具はベーコンとタマネギにナスを炒め、トマトソースで味付けしたものが結構気に入っている。

       フライパンで焼くピザ(仕上げにピザの縁を小型バーナーで焼き上げる)

二つ目は日本製のインスタントカレー、手っ取り早く作れてコスパに優れ、美味しいのでコロンビア人にとてもウケる。三つ目はパエリャだ。当地ではパエージャと発音する。海産物は冷凍物しか手に入らない。入れる具材はシュリンプ、白身魚、イカ、ムール貝、マッシュルーム、玉ねぎ、3色ベジタブル、チキン、スペアリブ、パプリカ、などその時に手に入る材料で作る。手間がかかるが見た目も一番豪華で美味しい。招待客は原則、8人までしか呼ばない事にしている。理由はテーブルが8人掛けで、これ以上だと落ち着いて食事ができないからだ。

                   自慢のパエージャ

昔は気軽に良いレストランへ行く機会が多かったが、定年してからほとんど行かなくなった。ここは昔と比べたらレストランの数が倍以上に増えたようだ。それも高級レストランが多くなった気がする。それでも時々、誰かのお祝いとかで、評判になっている高級レストランに行ったりする。施設が豪華で内装も凝っているところが多い。しかし料理の見た目に比べて味が伴わない。食べた途端ガッカリする事が多かった。そして料金も当地の物価と比べて格段に高く、コスパが悪いため行く気がしなくなった。

私の親友も全く同じ意見であった。彼の話では、いわゆる中流の30代の若い世代が結構派手な生活をしていて、総じてグルメだそうだ。どこそこの新しいレストランへ行ったと言う話が、仲間内での重要な会話になっているようだ。彼らは衣類や車、海外旅行にも結構お金をかけているように見える。共稼ぎであってもそんなに高収入ではないと思うのだが、支払いはもちろんカード払いだそうで、隠れカード破産者が多いのではないかと思う。またはツケは親が持っているのかも知れない。

そうそう、高級レストランへは行かなくなったが、小洒落た日替わりで当地料理を出す定食屋さんには昼飯を食べに行く。いつ行っても味が良いのと、安くてウエイターの対応も良いので週に一、二度、家で昼食を作りたくない気分になった時に行く事にしている。

             伝統的な家庭料理(日替わり定食レストラン)

掃除・洗濯:

私が調理をするので、洗濯と掃除は妻が行っている。床はアイロボットと軽いコードレスの掃除機をかけた後に、モップで拭き掃除をしている。月に一度程度、面倒な窓ガラスを外して拭く作業は、重いので私の仕事になっている。以前、子供が小さい時は住み込みのお手伝いさんを雇っていた。知り合いから推薦を受けて雇った場合もあるが、中々良い人を見つけるのは難しい。金品を盗まれていた事がわかり、辞めてもらった人もいる。

夫婦二人で住むようになってから週2回、通いのお手伝いさんを頼んでいたが、パンデミック以降は私達二人で家事全般を行なう様になった。なるべく家事が負担にならないように、容量が22kgの大型洗濯機と乾燥機を購入した。天候を気にすることも無く、シーツや毛布の洗濯も問題ない。食器洗浄機も買ったので、人を招待した時でも後片付けが楽になった。それでも、どちらか体が動かなくなってきたら、介護士さんかお手伝いさんを雇う事になるのだろうと思っている。

洗濯場の奥にお手伝いさん用の小さな部屋があり、専用のトイレとシャワーもあった。そこを一つの部屋にリフォームしてキッチンパントリーにした。ここで乾燥機に入れられない衣類を干したり、アイロン掛けもできる。壁とトイレ、シャワーの取外しとタイルの張替えなどは業者に頼んだが、壁全面の収納棚は自分で測ってデザインしてから資材業者に資材をカットしてもらい、自分で組み立てた。家の電気関係や水回りの修理、壁のペイントなど私ができることは、自分でする事にしている。

趣味:

1)ダンス:

妻は結構忙しくしている。週に一度、近くに住んでいる姉さんの家で、姪や友人など6人ほど集まって裁縫などを行なっている。そして週2回英語教室に通う他、南米のサルサとかポロなどトロピカルなダンスが好きで週2回ダンス教室にも通っている。一緒に行こうと何度も言われたが、せっかくダンス教室に通うのであればと、5か月前から週に一度だけ一緒にアルゼンチンタンゴの教室に通い始めた。私は残念ながら3ヶ月前に、履き慣れないダンスシューズで右足首を捻挫してしまった。見学していた時間が長かったので、練習不足の為いまだに下手くそだ。

ようやく右足首が良くなってきたが、1ヶ月前から今度は左膝の裏が痛くなってきた。多分、右足を庇って歩いていたので左膝に負担がかかってきたのだと思う。ネットで調べたら鵞足炎という症状に該当するようだ。ネットで調べてマッサージなどをした結果、痛みが軽減してきたが、治り切らないので当分の間は散歩を少なくして、プールで泳ぐ事にした。

2)健康管理:

今住んでいるマンションはコンドーミニアム形式で敷地内に2棟建てられている。ゲートは24時間体制でガードマンが出入りのチェックをしている。夜はもう一人が敷地内を巡回しているので安心していられる。施設の掃除やゴミの整理も専属の作業員が5人ほどいるので、清掃が行き届いている。敷地内には25X5mのプールがあり、隣に小さなバスケットコート、子供の遊具場、スカッシュコートに小さなフィットネスジムやサウナも併設されている。平日の早朝と夕方以外はほとんど利用者がいないので、朝9時から4時頃の間は独り占めできる。

                  ダイニング/リビング

今朝は天気が良かったので一人で20分程プールで泳いできた。かなり前に右肩の腱の一部が断裂してから、肩が痛くてクロールで泳げなかった。ネットで見つけた肩のリハビリ運動を続けたことで痛みが取れ、再びクロールで泳げるようになった。ただ肺活量は小さくなったようで、10年くらい前までは一息で25mは楽に潜水して行けたのが、今は15mくらいしか息が持たなくなった。週に2、3回は泳ぐ様にして、2回くらいはマンションの近くを小一時間歩く様にしている。ジムのウォーキングマシーンで歩くよりは、やはり外を歩いたほうが気分が良い。

                   昼下がりのプール

3)オートバイ:

エレベーターには地下2階まで表記されているが、建物は土地の斜面に建てられていることから、地下2階の部分も地表に出ている。この地下2階に12室ほどのホビールームがある。マンションを購入した際に紹介され、約18平米の部屋を購入した。そこには昔買っておいた1954年型、BMW製R-25を途中までレストアして置いてある。ミクロネシアに住んでいた時は、妻の姪に格安で家具付きのままマンションを貸していたので、彼女の荷物で溢れかえっていた。今は元通りにオートバイ修理ガレージとして片付けたが、以前よりも物が増えたのでダンボールやスーツケースがいくつか置いてある。ようやく最近になって修理作業ができるまで整理したので、少しずつレストアを再開する予定だ。

                 レストア中のBMW R-25

4)旅行:

定年前後に、夫婦でサンフランシスコの息子のところへ2回、娘が住んでいるスイスを起点に南ヨーロッパを2回、そして日本へ1回ほど遊びに行ってきた。ヨーロッパでは特に好きになったのが、スペインのアンダルシア地方とクロアチアだ。予想以上にクロアチアが気に入った。アドリア海の海岸線に点在するいくつかの街は、中世の城塞都市がそっくり保存されていて、とても良い雰囲気の中に多くのカフェやレストランがある。ヨーロッパの中では物価の安いスペインよりも安く感じた。

歴史的にローマ帝国やベネチアの影響を受けていたことから、料理もイタリア系でとても美味しい。観光客が多過ぎるハイシーズンの7、8月は辞めたほうがよい。私達はスイスのジュネーブから格安フライトでクロアチアのスプリットへ行き、予約していたレンタカーでドゥブロヴニクへ行った。9月になってから行って大正解であった。観光客が少ないので、自動車道も空いていて移動しやすかった。まだ日中は暑いので綺麗な海岸で泳いでいる人達が居た。10月に入ると雨が降り出し、肌寒くなるそうだ。9月以外は5、6月が良いと言われている。ちなみにスペインもクロアチアと同じ時期がベストシーズンだった。

                小雨が止んだ夕暮のドゥブロヴニク

旅行するのは楽しくて好きだが、以前と比べて知らない土地を運転するのが段々と面倒くさくなってきた。それでも健康で足腰が丈夫な間は、まだまだ旅行したいと思っている。

5)ブログ:

コンスタントに、そしてコツコツと時間を掛けてこのブログを書く事にしている。私や妻の家族、友人や知人の中に、私と似た様な人生を送っている人はいない。日本でもコロンビアでも何故当地に住んでいるかと聞かれる事が多々ある。海外での自分の経験談が、誰かの何かの参考にでもなればと思ってこのブログを書く事にしている。勿論、参考にならなくても、興味本位で読んでもらって構わない。

また最近は、小さな二人の孫が年頃になってから、爺ちゃんがどんな人だったのか知ってもらう為にも書き残したいと思う様になった。コロンビアの妻の家族や友人達はスペイン語版を望んでいるが、まだまだAIでも日本語をしっかりと訳すには手間がかかるので、日本語版を書き終わるまでは手を付けない事にしている。いつか、このブログを基に動画を作成するのも面白いかも知れない。

6)その他:

絵を描くのが好きだ。実際には、孫達に会った時に彼らが塗り絵をするためのアニメや、動物の下絵を描く程度だが、なるべく時間を作って?出来れば水彩で風景画を描けるようになりたいと思っている。この他、”コンドルが飛んでいく/El condor pasa” をケーナで吹きたいと思い、机の隅にケーナ2本を置いてあるが、中々手が出ないままになっている。少しずつでもネットを見ながら独習しようと思っている。

              写真を元に書いたワイルドキャットの下絵

以上、何だかんだとやる事が多いが決して忙しくはなく、退屈でもない日常生活を送っているので、私の親友のように、仕事に復活したいとは思わない。

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