C9. アルゼンチン海水魚養殖案件(5)

家探し2
ようやく家が決まった。いままで20数件の家を見てきたが一番まともな家だ。通常貸し家は手入れが非常に悪い。しかしここは大家が実際に住んでいる家を貸すので、家具も内装も綺麗にしてある。この家はレンガ作りの2階建てで、出窓や扉が白く塗られていてイギリス風という感じだ。

左右両隣の家とは隙間が無く、連続して建てられている。玄関の手前左手に前庭があり、右手は地下のガレージに続くスロープがついている。玄関を入ると正面が2階に上がる階段があり、右手が暖炉のある居間と奥の一段高くなったところに来客用の8人掛けのテーブルが置いてある。左手はTV をみる小さな居間があり、扉を開けて奥に行くと日常使う食堂とトイレがあり、奥は結構広いキッチンになっている。食堂同士は明かり取りのために作ってあるガラス張りの吹き抜けを通して見通せる。

裏庭にはキッチンと来客用の食堂から降りられる。裏庭は150平米くらいで、真ん中は芝生で塀に沿って木が植えてある。奥隣の家とは塀を介して裏庭同士でくっついているが、結構木が茂っていて静かだ。天気が良い時に裏庭のイスに座ってポケーっとしていると、住宅街に居ると言うよりどこかの別荘に来たような感じがする。

裏庭からも地下のガレージに降りられるが、普通は日常用の食堂から降りる。地下は車が4台ほど入るくらい大きい。隅の方に6人掛けのテーブルが置いてあり、焼き肉をするパリージャという炉が付いている。

大家の親父は結構やかまし屋で契約書の一語一句に目を通してああでもない、こうでもないとすごく細かい。保証人は研究所ではダメだという。政府機関は金払いが悪く、信用がないからだ。心当たりはブエノスのK 氏しかいない。電話をすると、K 氏は日本から来る人は簡単に考えているようだが手間が掛かるの何の、と言われが、他に頼むところが無いので、K 氏の感情を害さないようにひたすらお願いしすることにした。

今回世話になった不動産屋のイタリア系のロベルトも結構ずるい。下書きの契約書に、再契約をするときは現行の不動産業者に依頼するなんて項目をちゃっかり書き加えてあった。「ロベルト、何だこれは、冗談じゃないよ」と言ってにらむと、ばれたかと言う感じで悪びれもせず、コンピュータに書いてあるこの部分を削除する。このほかにも気に入らない点を指摘して削除と挿入を繰り返し、ようやく納得した下書きを大家に渡してもらい、自分にも一枚印刷してもらう。

契約書は面倒だが納得のいくまで読んで、分からないところは弁護士等に相談した方がよい。最初にきちっとしないと後でトラブルのもとになる。下書きを読んだ後、研究所の法律顧問に頼んで一通りチェックしてもらい、分からないところを詳しく説明してもらう。

借り手は最初に結構金が掛かる。ここの住宅は2年契約が基本で、不動産屋へ契約時に24ヶ月分の家賃の6%もの手数料を払う。不動産屋は貸し主のほうからも家賃1ヶ月分の手数料を取る。このほかに借り手は大家に敷金として家賃2ヶ月分と、初めの1ヶ月分を足した計3ヶ月分の家賃を一括で払うことになる。

この他に家の火災保険と家具類の盗難保険にも加入しなくてはならない。この保険は強制では無いのだが、万が一借りている家が火事や盗難にあったときは、借り手と保証人が責任をとらなければならない。敷金は契約が切れるときに戻ってくることになっているが、大半は家の修繕費と言う名目で差し引かれてしまうのが常と聞く。1ヶ月分くらいは戻してくれそうだが、逆に最後の月の家賃は払わずにこの分で相殺したほうが簡単だ。

しばし休稿いたします。

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